昔は畳の家は当たり前でしたが、今では、洋室だけとか1部屋だけ畳という家が多いのではないのでしょうか?
ただ畳は落ち着くので、フローリングにあえて畳のマットなどを敷く家もあると聞きます。
このように畳の生活は当たり前でなくなりましたが、畳についてのマナーについて調べてみました。
- 畳の縁(へり)とは
- 畳の縁を踏むのはマナー違反
- 畳の縁を踏んではいけない理由と由来
- 畳の縁の役割
畳の縁(へり)とは
畳の縁のことを畳縁(たたみべり)と言います。
畳縁は、畳の長手方向に付いている布の事で、畳の周りではなく、長い辺に縫い付けられています。
素材は絹、綿、麻などです。
畳の縁を踏むのはマナー違反
和室には独特のマナーがあります。
畳の縁とは畳のフチの部分のことですが
和室の畳に限らず、家の敷居など、「縁を踏んではいけない」
と言われています。これは和室においての基本の所作のひとつです。
※畳のサイズは畳を縦、横のどちらに歩いても縁を踏まない歩幅にしているとのことです。
畳の縁を踏まないために語り継がれた話
- 敷居や畳の縁は父親の目だから、父親(その家の主人)の顔を踏むのと同じ
- 畳の縁には、その家の家紋を入れることがあります。=紋縁(もんべり)といわれています。つまり家紋を踏むというのは、相手を侮辱する行為である
畳の縁を踏んではいけない理由と由来
畳の縁を何故踏んではいけないのでしょうか?
それはいくつかの理由があります。
- 身を守るため
- 縁を傷めないため
- 縁を踏むと失礼になる
- 縁は結界の意味なので踏んではいけない
床下には敵が潜んでいることがあります。
畳との間から部屋の明かりが床下に漏れています。床下に潜んだ敵は明かりが途切れた上には人がいることを確認出来ます、敵方は人がいると確認したら下から槍や刀を突き差すことができます。
戦乱がない時代でも、武士はいかなる時も油断をしてはいけないということで、この言い伝えを守ってきました。
畳の縁は藍染めなどで染色された絹や麻が使用されていたり、金や銀の糸で装飾されていたものもあります。色が落ちやい、破れやすい、擦り切れやすかったため、縁を踏んではいけないとされていました。
昔からの言い伝え通りの畳の縁は家紋(もんべり)をあしらわれていることも多かったので、その家紋を踏む行為は失礼にあたるということです。
※繧繝縁(うんげんべり・うげんべり)や高麗縁(こうらいべり)という柄は身分の高い人しか使用できませんでした。
繧繝縁と高麗縁の説明は下記の項目でしています。
畳の縁は聖地と俗世を隔てる境界線(結界)なので、畳の縁を踏まないことは秩序を崩さないこととされています。
畳の縁の役割り
畳の縁は下記のような役割があります。
- 畳の切り口を隠す
- 畳の補強する
- 畳床と畳表を固定させる
- 畳の角の摩耗を防ぐ
昔は身分により畳縁の使用に制限がありました。
繧繝縁(うんげんべり・うげんべり)・・・天皇・三宮(皇后・皇太后・太皇太后)・上皇、神仏像
高麗縁(こうらいべり)・・・親王・摂関・大臣(大紋高麗縁)、公卿(小紋高麗縁)
生活の中で「畳の縁を踏んではいけない」ということを、ぜんぜん意識していなかったと思います。それだけ和室の作法に縁遠くなったのと、畳の生活が当たり前になっていて、転がったり遊んだりしていたし、親や周りからも厳しく言われたことは無かったからでしょうか。でも和室においての作法として他人の家などに行ったときは気をつけようと思います。