日本の伝統文化において、幸運と繁栄を象徴する存在として、多くの人々に親しまれているのが七福神です。
各々が異なる特質と力を持ち、富と幸福をもたらすこれらの神々は、私たちの生活に密接に関わっています。
しかし、それぞれの七福神がどのように区別され、その名前や飾る方向、そして並べ方の順番に至るまで、具体的な知識を持つ人は意外と少ないかもしれません。七福神の魅力を再発見し、幸運を呼び込むための一助となれば幸いです。
七福神の見分け方
七福神(しちふくじん)とは、インド伝来の仁王経の中にある「七難即滅 七福即生」という仏教語に由来する、福徳の神として日本で信仰される七柱の神である。(引用:Wikipedia)
それぞれが異なる特徴を持ち、様々な形や色合いで表現されています。七福神を見分けるためには、以下のポイントに注目することが重要です。
各神の名前(ひらがな)と特徴
七福神はそれぞれ異なる特徴を持っており、以下のように特徴付けされています。
- 福禄寿(ふくろくじゅ) – 白い髭をたくわえた老人の姿で描かれ、富や長寿を象徴します。福禄人(ふくろくじん)ともいわれる。
- 大黒天(だいこくてん)– ずんぐりとした体格で描かれ、商売繁盛や商才を守護します。
- 毘沙門天(びしゃもんてん) – 四神のひとりで、武神として知られ、学問や文芸の守護神とされます。
- 弁財天(べんざいてん) – 美しい女性の姿で描かれ、芸術や音楽、愛を司る女神です。唯一の女神。
- 恵比寿(えびす) – 笑い顔で魚を持っている姿が特徴で、商売繁盛や幸運をもたらします。夷、戎、蛭子などの漢字でも表記されます。ただひとりの日本出身の神様です。
- 布袋尊(ほていそん) – 太ったお坊さんの姿で表され、財宝や幸福を守護します。太鼓腹を突き出し常に大きな布の袋を背負っていた。
- 寿老人(じゅろうじん) – 頭の長い老人の姿で描かれ、酒を好み長寿の神とされています。(不老長寿の)桃を持ち、(長寿と自然との調和の)鹿を従えている。
これらの特徴を覚えることで、七福神の見分けが容易になります。
色や形の違い
七福神の姿や形状には多様性があります。例えば、福禄寿は白い髭をたくわえた老人の姿で描かれる一方、大黒天はずんぐりとした体格をしています。また、毘沙門天は四神のひとりであり、武神としての特徴を持っています。これらの違いは、それぞれの神が異なる対象や価値を守護していることを表しています。
守護する対象
七福神はそれぞれ異なる対象を守護しています。一般的には、福禄寿が富や長寿、大黒天が商売繁盛、毘沙門天が学問や文芸の守護、弁財天が芸術や音楽、愛を司るなど、それぞれが異なる分野で幸福や繁栄をもたらす役割を果たしています。
七福神を飾る際には、それぞれが守護する対象に合わせて配置することが一般的です。
七福神の意味・象徴
七福神とは、日本の伝統的な信仰であり、幸運や福をもたらすとされる神々のことです。以下では、七福神の名前の由来や意味、関連する言葉やことわざについてご紹介します。
由来と象徴
七福神には、それぞれ由来と象徴を一覧でご紹介します。
神名 | 由来 | 象徴 |
---|---|---|
恵比寿 | 国造りの神「イザナギノミコト」と「イザナミノミコト」の子供とされる | 商売繁盛、幸福、豊穣 |
大黒天 | インドのヒンズー教で暗黒をつかさどる神さま「マハーカーラ(偉大な黒を意味)と日本の大国主命が習合 | 財宝、商売繁盛、幸福 |
弁財天 | インドのヒンズー教で水と豊穣の神さま「サラスバティー」音楽もつかさどり悪神を退治する戦いの神さま | 音楽・芸術、教育、学業成就 |
福禄寿 | 中国・道教がルーツの仙人で寿老人と同体異名の神とされることもある | 幸福、財宝、長寿、多子、智慧、福徳 |
布袋尊 | 中国・唐の時代に実在した仏僧で契此(かいし)という名。弥勒菩薩の化身と噂されていた。 | 世捨て人、慈悲、幸福、財宝 |
毘沙門天 | インドの財宝神「クベーラ」 | 戦勝・勝利、厄除け、家内安全、健康 |
寿老人 | 中国・道教がルーツの仙人で寿老人と同一神と考えられ、七福神から外されたこともある | 長寿 |
このように、七福神の名前には幸福や繁栄に関連する意味や象徴が込められており、それぞれの神が持つ特徴や力を表しています。
関連する言葉やことわざ
七福神の名前は、日本の言葉やことわざにも使われることがあります。以下にいくつかの例を挙げてみましょう。
- 「恵比寿の福は鯛の尾」:商売繁盛や幸福を象徴する恵比寿の福を、鯛の尾にたとえています。
- 「大黒さんが通る」:商売が繁盛する様子を表す表現であり、大黒の神が通ることで幸運が訪れると信じられています。
- 「福禄寿のように、財宝と智慧に恵まれる」:福禄寿のように、幸福と富の両方を得られることを願う言葉です。
以上のように、七福神の名前は日本の言葉やことわざに深く根ざしており、日常生活や文化の中で広く使われ、幸福や繁栄を願う心を表現しています。
七福神の飾る方向と並べ方
七福神を飾る際には、各神の方位に注意することが重要です。以下では、七福神の方位と飾る場所の選び方、そして縁起を担ぐポイントについて詳しく説明します。
注意:飾る方向や並べ方は一般的な情報です。地域や風習によっては異なる場合がありますので、ご自身の状況に合わせて判断してください。
各神の方向と場所
七福神それぞれ並べる方向です。
七福神 | 方向 |
---|---|
大黒天 | 北側に向けて飾る |
恵比寿 | 北東に向けて飾る |
弁財天 | 東に向けて飾る |
布袋様 | 南東に向けて飾る |
福禄寿 | 南に向けて飾る |
毘沙門天 | 南西に向けて飾る |
寿老人 | 西に向けて飾る |
また、七福神を飾る場所としては、玄関や神棚、ご自宅の中央などが一般的です。その他にも、商売繁盛を願って事務所や店舗の入口に飾ることもあります。
縁起を担ぐポイント
七福神を飾る際には、縁起を担ぐためのポイントにも注意しましょう。以下に、縁起を担ぐためのポイントを挙げてみます。
- 七福神を飾る際には、身分の高い神様である大黒天を中央に配置するのが一般的です。
- 七福神のうち、布袋様にはコインやお金を持っている姿が特徴的です。そのため、布袋様を見せるように配置することで、商売繁盛や金運を招くとされています。
- 恵比寿は商売繁盛の神様であり、網などの漁業に関連するものを飾ることで、漁師や水産業においての繁栄を祈ることができます。
七福神の飾る方向や飾る場所、縁起を担ぐポイントはさまざまですが、それぞれの意味や理由を理解して飾ることで、より願いが叶いやすくなるかもしれません。
七福神の並べ方
七福神の並べ方にはいくつかの基本ルールがあります。まず、神様たちを対象物として扱う場合、一般的には右から左へと並べることが一般的です。これは、神様たちを招き入れるようなイメージを持たせるためです。また、神様たちの順番は固定されているわけではなく、地域や風習によって異なる場合があります。
また、七福神を飾る場合、自分の都合だけでなく、風水や神道などの考え方に基づいて並べることも重要です。特に風水では、受け入れる方位や配置のルールがありますので、これを参考にすることもおすすめです。
並べる順番
七福神の並べ方には、それぞれの神の特徴や力を引き出す意味が込められています。一般的な並べ方には以下のような意味があります。
- 恵比寿(えびす):商売繁盛・飛躍の象徴とされており、最初に並べることで商売繁盛を願います。
- 大黒天(だいこくてん):財宝・金運の神として知られており、二番目に並べることで豊かさと繁栄を願います。
- 福禄寿(ふくろくじゅ):福徳・寿命の神として崇められており、三番目に並べることで幸福と長寿を祈ります。
- 毘沙門天(びしゃもんてん):学問・法律の守護神として信仰を集めており、四番目に並べることで学業の成功と正義を願います。
- 弁財天(べんざいてん):芸術・美の守護神として崇められており、五番目に並べることで芸術的な才能や美的な恩恵を願います。
- 布袋(ほてい):幸福と八方招福(さまざまな方向から福を招くこと)の象徴とされており、六番目に並べることで幸運と豊かさを願います。
- 寿老人(じゅろうじん):長寿・健康の神として崇められており、最後に並べることで長寿と健康を祈ります。
このように、七福神の順番には、それぞれの神が持つ力や特徴が反映されています。順番通りに並べることで、七福神の力を最大限に引き出すことができるとされています。
地域や風習による違い
七福神の並べ方は、地域や風習によっても異なる場合があります。例えば、一部の地域では、恵比寿や大黒天が逆になる順番で並べることがあります。これは、地域独自の風習や信仰に基づいたものであり、その地域ならではの七福神の並べ方と言えます。
また、七福神の並べ方には、風水の考え方も影響を与えています。風水では、各神のエネルギーの流れを考慮して最適な配置を決めることが重要です。そのため、風水の考え方に従って、七福神の順番を変えることもあります。
さらに、人々の信仰や個人の感覚によっても、並べ方の順番は異なる場合があります。人々の願いやパワースポットに対する信念は個々に異なるため、自分自身が一番良いと感じる順番で並べることも大切です。
七福神を飾る際には、順番を守りつつ、自分や家族の願いを込めて飾ることをおすすめします。
七福神を飾る際の注意点と豆知識
七福神を飾る際には、いくつかの注意点や豆知識があります。以下にその一部を紹介します。
飾る時期や期間
七福神を飾る時期や期間には、地域によって異なる慣習があります。一般的には、1月の初めから節分の頃までの期間に飾ることが一般的です。特に、1月1日に七福神を飾ることで新年の幸運を迎えるとされています。
七福神を飾るときのマナー
七福神を飾る際には、以下のマナーに気を付けることが大切です。
- 室内に飾る場合、部屋の入り口に向けるのが一般的です。また、七福神を飾る場所は清潔に保つようにしましょう。
- 七福神はお互いを見守り合う存在とされていますので、背中同士はくっつけないようにしましょう。
- 七福神の顔や身体を触ることは避け、尊重する姿勢を持つことも大切です。
七福神にまつわるエピソードや伝説
七福神には、様々なエピソードや伝説があります。以下に一部をご紹介します。
- 恵比寿:船を漕ぐ姿や錦鯉を抱えている姿から、商売繁盛の神とされています。伝説では、海から現れて難船した人々を救ったと言われています。
「恵比寿」とは、商売繁盛を意味する言葉です。
- 大黒天:福をもたらす神として知られており、秤を手に持っている姿が特徴です。伝説では、病気を治したり、豊作をもたらしたりしたと言われています。
「大黒天」とは、豊かさや繁栄を象徴する言葉です。
- 弁財天:音楽や芸術の神とされており、琵琶を奏でる姿が特徴です。伝説では、悪鬼を退治し、人々を守ったと言われています。
「弁財天」とは、芸能や経済の才能を持つ人を指す言葉です。
まとめ
七福神には様々なエピソードや伝説があり、それぞれの神が持つ力や功績が語り継がれています。これらのエピソードや伝説を通じて、七福神の存在や意味をより深く理解することができます。
七福神は日本の伝統的な信仰であり、新年の幸運や繁栄を象徴する存在です。それぞれの神が持つ力や特徴を大切にしながら、幸せな新しい年を迎えるために、七福神を飾ることをおすすめします。
よくある質問
Q1. 七福神はいつ飾るのが一般的ですか?
一般的には、1月の初めから節分の頃までの期間に七福神を飾ることが一般的です。特に、1月1日に七福神を飾ることで新年の幸運を迎えるとされています。
Q2. 七福神を飾る場所はどこが良いですか?
七福神を飾る場所としては、玄関や神棚、ご自宅の中央などが一般的です。その他にも、商売繁盛を願って事務所や店舗の入口に飾ることもあります。
Q3. 七福神の並べ方には決まった順番がありますか?
七福神の並べ方は、特定の順番で並べることが一般的です。一般的な並べ方は、「恵比寿 → 大黒天 → 福禄寿 → 毘沙門天 → 弁財天 → 布袋 → 寿老人」となります。